趣味のプレジャーボート、中古として売っても、結構な金額になります。
ひょっとして税金がかかるかも? と思った方。あなたは正常です。その感覚を大事にしましょう。
買った値段<売った値段でも税金がかかる?
でも、買った値段>売った値段なので、損しているから税金がかからないとお思いかもしれません。
が、売った値段が買った値段より低いのは、中古で価値が下がっているからです。
この場合、中古艇の価値<売った値段 となっていると、税金がかかる場合があります。
中古艇の価値を計算することを、減価償却といいます。
買った値段-減価償却=中古艇の価値
売った値段-中古艇の価値-50万円=売却益(プラスの場合)
この減価償却をいくらにするかは、売るモノの法定耐用年数と、買ってから何年経ったかで決まります。
プレジャーボートの法定耐用年数の調べ方
まず、プレジャーボートの法定耐用年数を調べてみましょう。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 | e-Gov法令検索
まず、ボート(船)を硬い言葉でなんというか。
「船舶」です。船舶で検索してみましょう。すると、船舶は次の2つに分かれています。
- 船舶法第四条から第十九条までの適用を受けるもの
- その他のもの
とあるので、船舶法を見てみましょう。19条の次の20条に、「船舶法第四条から第十九条までの適用を受けないもの」についての規定があります。
第二十条 第四条乃至前条ノ規定ハ総トン数二十トン未満ノ船舶及ヒ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス
明治三十二年法律第四十六号 船舶法
うーんシブい条文。プレジャーボートを買ったときの資料で確認してほしいですが、20トン未満なら、船舶法第四条から第十九条までの適用を受けないということです。
よって、「その他のもの」に分類されます。
「船舶/その他のもの」は、さらに材質で分かれています。
- 鋼船
- 木船
- その他のもの
プレジャーボートは通常、FRP船(一種のプラスチック製)です。すると、鋼でも木でもないので「その他のもの」。
「船舶/その他のもの/その他のもの」は、さらに動力の種類で分かれています。
- モーターボート及びとう載漁船
- その他のもの
に分かれますが、まあプレジャーボート、モーターで動きますよね。ヨットみたいに風力で動くなら、「その他のもの」ですが。
結果、最終的なカテゴリーは「船舶/その他のもの/その他のもの/モーターボート及びとう載漁船」となり、法定耐用年数は4年ということになります。
ただし、この法定耐用年数は新品で買った、事業用の場合です。ハードに使うことを想定しています。
今回、個人の趣味・余暇用に使っていたなら、事業用より長持ちすると考え、この年数を1.5倍した、「6年」で減価償却の計算をします。
減価償却費、売却益の注意点
また、この場合の償却方法は、いつ買ったものでも「旧定額法」とします。法定耐用年数6年の旧定額法償却率は、0.166です。
買った値段×0.166=1年分の減価償却費です。
これに経過年数をかけるのですが、この際、初年度や売却年度が年の途中の場合、半年未満は0年、半年以上が1年として経過年数にカウントします。
仮に6年を超えて使用していたとしても、中古艇の価値は0円にはなりません。買った値段の5%で止まります。
誤って0円や1円を取得費として申告してしまうと、売却益が増加→納税が増えてしまいますので、ご注意いただければと思います。
さらに、最後の確認として、売った値段×5%と比較して、大きいほうを中古艇の価値(経費)に採用して、売却益を計算することとなります。
売った値段-中古艇の価値(減価償却したあとの残りの金額 または 売った値段×0.05 の大きい方)-50万円=売却益
また、保有期間5年超だと、売却益の1/2に課税されるので、5年超経ってから(買った後正月を6回迎えてから)売却するのが税金的にはおすすめです。