横浜市港南区・日限山。法人・個人・NPO法人など公益法人等の顧問税理士。経理のアウトソーシング

カテゴリー: 税込経理

税込経理で会計スピードの経営を

私は、スモールスタートの小さな会社・個人事業主には税込経理をおすすめしています。判断や処理が速くなるからです。

税抜経理は、複数の頭脳を持つ経理部があるような会社でやるべきものと考えています。

私は、対戦型格闘ゲームが好きなのですが(ストII、いまならスト6みたいな)、初心者が対戦で勝てない(弱い)のは、スピードが出せないからです。

相手が考えたり動いたりするより速く、次から次へと攻撃が出せれば、まずは脱・初心者になれます(上級者に勝つには、これだけではだめですが)。

スピード重視の事務でよい

レシートをスクラップブックに貼りつける方もいらっしゃいますが、個人事業主であれば、13ポケットホルダーに月ごとに放り込むだけで十分とお伝えしています。時間がかからないからです。

同じように、経理も税込経理だとスピードが出せます。特に、インボイス対応で初めての消費税を納税しようという方には、税込経理なら、会計処理の違いが少なくなります。

消費税分が、「租税公課」として費用が増えるだけです。

「はじめての消費税」となる方は、スピードを落とさないようにしましょう。

税込経理のデメリットがあるというけれど

「でも、税抜経理のほうが税金上、有利って聞くけど」

確かにそういうのもあります。〇〇円以下なら経費になる、という金額の基準が、税抜経理のほうが税込経理より消費税分大きい金額でも大丈夫、となります。

でも、小さな会社には、その影響は小さいです。もともと扱う金額が小さく、さらにその10%の話ですから。

税抜経理だと、支払うお金は税込なのに、固定資産台帳は税抜で登録しないといけないとか、年度末の棚卸をうっかり税込みで集計するミスをしてしまうとか、罠がいっぱいあります。

「〇〇円以下」の話も、ものによって税抜〇〇円以下だったり、税込〇〇円以下だったりで、どっちだっけ? とムダに考える時間が発生してしまいます。

考える時間がくせものです。税込経理なら、考えなくてよいことが増えるので、やるべきことに集中できるでしょう。

税込経理なら、税抜で判断しないといけないのは、消費税の免税事業者になれるかの1,000万円以下、簡易課税が使えるかの5,000万円以下くらいです。

あとは全部税込みで考えればいいのです。

税込経理の影響が出るもの一覧

  • 年度末の在庫(棚卸)…税込経理なら税込金額で集計する
  • 固定資産…税込経理だと税込30万円未満までが一括で経費になる(白色申告なら税込10万円未満)
  • 災害損失、寄附金の額…税込経理なら税込時価をもとに計算する
  • 交際費…税込経理だと1人あたり税込5,000円以下の飲食費が経費になる(中小企業なら年800万円を超えることは少ないので影響なし)
  • 簡易課税…月次決算で消費税の影響を把握したければ、税抜売上×税率×(100%-みなし仕入率※) ※2割特例なら80%

はじめての消費税を納める場合で、自分で経理をするなら、税込経理のほうが難しくないです。

それでも、はじめての負担やリスクを下げたいなら、税理士からアドバイスを受けることも考えてみてはどうでしょうか。

消費税についてもご依頼をいただければ、単発でも継続でも、サポートをいたします。

2割特例・簡易課税なら、税込経理でスピードアップを

もらったインボイスをチェックする。

それは、今回初めて消費税を納める事業者の方(2年前の売上高が5千万円以下)で、2割特例・簡易課税を使う予定であれば、まったくやらなくていいことです。

消費税を、売上だけから計算するので、実際の経費のインボイスを見る必要はないからです。

経費のインボイスについて、登録番号がなければ、消費税10%のうち、8割を仮払消費税等に計上する。それも、やらなくてよくなります。

事務負担という意味では、そうでない人よりもずっと楽です。

この「楽さ」で得たスピードを生かしていきたいものです。

2割特例・簡易課税の人は、税込経理がおすすめ

さらに経理をスピードアップするには、税込経理にしましょう。

会計ソフトの入力方法には、税抜経理と税込経理との2つがあります。

税抜経理は、収入額から消費税分はなかったものとして、売上を計算する方法。

税込経理は、収入に占める消費税分も、売上に含めて計算する方法。すると利益が過大になるので、別途、納付する消費税を租税公課として経費にします。

さきほどの、仮払消費税がどうだこうだ、というのも、税込経理には関係ありません。経理がシンプルになる効果があります。

税込経理のデメリットと、その対策

しかし、税込経理にはデメリットがないわけではありません。

仮に、消費税率がいまの10%から上がって20%となり、税率上昇分を価格に上乗せすると、それだけで売上高や粗利が増えたように見えてしまいます。

決算書や会計ソフト上で、消費税率が変わった前後の金額を比較すると、業績がよくなったような気がする。

また、あとから税抜経理に変更した場合も、変更前の決算書の数値との比較がむずかしくなります。

他にもありますが、大きい悪影響は、それくらいです。これらは、しょっちょう起こることではないので、そうなったときに対策すればいいのです。

税抜経理

税込経理

税率10%

税込経理

税率20%

売上高1,0001,1001,200
売上原価800880960
粗利200220240
租税公課02040
利益200200200

対策としては、決算書や会計ソフト上で2期比較をしないことです。

決算書は、税務署や銀行に見せるためのものと割り切って、自分用の経営分析は、Excelで行ってみてはどうでしょうか。

2期の決算データをExcelにエクスポートして、Excelシート上で税抜経理にして、比較してみましょう。

税抜きにするには、税込金額÷1.1(税率10%の場合)をします。

こうすれば、税込経理でも、会計データを経営に生かせるはずです。

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