消費税は、滞納の多い税金です。
所得税や法人税などは、赤字ならほとんどかかりません。
赤字ということは、決算書の損益と多少ずれがあるにせよ、手元にお金が減っている状態です。
それに対応して、税金も減っている。話のわかるやつです。
でも、消費税は、赤字でも多額の納税が発生することがあります。消費税の納税額にびっくりしたことはありませんか?
特に、2割特例で初めての消費税申告を終えた方は、売上が3カ月分だったので、それほどの金額ではなく、まだびっくりしたことがないかもしれません。
しかし、2024年分は12カ月分丸々あり、単純計算で今回の4倍の納税額になりうるのです。
税込経理方式の場合
あなたの会社の経理は、税込経理方式ですか?
消費税を納めていなかったときと、経理のやりかたを変えていない方は税込経理です。
また、月次の試算表をご覧になってみて、仮払消費税等・仮受消費税等という科目がなければ、税込経理方式です。
税込経理方式では、消費税の納税のための収入が、すべて売上高に入っています。
売上高から消費税を納税しないといけないので、このお金を「未払消費税」として貯金しておく必要があります。
税込経理の場合の貯金額の計算方法をご紹介します。
2割特例、簡易課税の場合
2割特例か、簡易課税で消費税の申告をする予定の方。売り上げれば売り上げるほど、消費税の納税額が増えます。
そのため、売上高や雑収入を見れば、将来払う消費税額を出せます。
会計ソフトをお使いでしたら、消費税の事業区分の入力をされているはずです。
事業区分別の税込売上高を確認して、事業区分別に、次の計算をすれば、その月で貯金しておくべき金額が概算で分かります。
=INT(貯金率*税込売上/(1+消費税率))
税込売上を税抜にして、そこに貯金率をかけた金額を、毎月 租税公課/未払消費税 の仕訳として入力しておきます。
すると、試算表の未払消費税残高が、将来払う消費税の金額になります。
消費税を中間納付したときは、未払消費税/普通預金 とします。消費税の中間納付は税金の前払いなので、決算のときに払う消費税が減るからです。
消費税の貯金率の一覧表
貯金率は、事業区分と税率とに応じて、次のとおりです。
事業区分 | 税率 | 貯金率 |
第1種 | 10% | 0.010 |
8% | 0.008 | |
第2種 | 10% | 0.020 |
8% | 0.016 | |
第3種 | 10% | 0.030 |
8% | 0.024 | |
第4種 | 10% | 0.040 |
8% | 0.032 | |
第5種 | 10% | 0.050 |
8% | 0.040 | |
第6種 | 10% | 0.060 |
8% | 0.048 |
これを毎月の月次決算で入れておけば、決算のときの本当の納税額(未払消費税)が、月次の未払消費税とほとんど一致することになります。
毎月の租税公課(消費税貯金額)を、そのつど別の預金口座に移しておけば、決算後に急な納税であわてることがなくなるので、おすすめです。