もらったインボイスをチェックする。

それは、今回初めて消費税を納める事業者の方(2年前の売上高が5千万円以下)で、2割特例・簡易課税を使う予定であれば、まったくやらなくていいことです。

消費税を、売上だけから計算するので、実際の経費のインボイスを見る必要はないからです。

経費のインボイスについて、登録番号がなければ、消費税10%のうち、8割を仮払消費税等に計上する。それも、やらなくてよくなります。

事務負担という意味では、そうでない人よりもずっと楽です。

この「楽さ」で得たスピードを生かしていきたいものです。

2割特例・簡易課税の人は、税込経理がおすすめ

さらに経理をスピードアップするには、税込経理にしましょう。

会計ソフトの入力方法には、税抜経理と税込経理との2つがあります。

税抜経理は、収入額から消費税分はなかったものとして、売上を計算する方法。

税込経理は、収入に占める消費税分も、売上に含めて計算する方法。すると利益が過大になるので、別途、納付する消費税を租税公課として経費にします。

さきほどの、仮払消費税がどうだこうだ、というのも、税込経理には関係ありません。経理がシンプルになる効果があります。

税込経理のデメリットと、その対策

しかし、税込経理にはデメリットがないわけではありません。

仮に、消費税率がいまの10%から上がって20%となり、税率上昇分を価格に上乗せすると、それだけで売上高や粗利が増えたように見えてしまいます。

決算書や会計ソフト上で、消費税率が変わった前後の金額を比較すると、業績がよくなったような気がする。

また、あとから税抜経理に変更した場合も、変更前の決算書の数値との比較がむずかしくなります。

他にもありますが、大きい悪影響は、それくらいです。これらは、しょっちょう起こることではないので、そうなったときに対策すればいいのです。

税抜経理

税込経理

税率10%

税込経理

税率20%

売上高1,0001,1001,200
売上原価800880960
粗利200220240
租税公課02040
利益200200200

対策としては、決算書や会計ソフト上で2期比較をしないことです。

決算書は、税務署や銀行に見せるためのものと割り切って、自分用の経営分析は、Excelで行ってみてはどうでしょうか。

2期の決算データをExcelにエクスポートして、Excelシート上で税抜経理にして、比較してみましょう。

税抜きにするには、税込金額÷1.1(税率10%の場合)をします。

こうすれば、税込経理でも、会計データを経営に生かせるはずです。