経費のインボイスを保存する必要がある会社の方向けの記事です。

※2割特例(はじめて消費税を納める方)、簡易課税の方は無関係です。

インボイスセミナーなどで、「インボイスがなくてもOKな取引がある」と聞いたことはありませんか。例えば、次のような。

  • 劇場・映画館など…入場券が回収されるのがふつうだから
  • 自動販売機など…領収書が出てこないのがふつうだから

そういう理由があるから、まあ、納得ですよね。よかった。

ただし、条件として「会計ソフトに【住所】を入力しましょう」と言われたものがあったはずです。それが先ほどの2つです。

  • 劇場や映画館などの住所
  • 自動販売機や、ATMの住所

「無理! 会計ソフトの【摘要欄】にそんなに文字数打てない! そもそも住所調べようがない!」

と思ったと思います。

「住所を書け」という法律を書いた人の気持ちもわかります。「インボイスがないから、あとから住所で確認できるようにしたのでしょうね。

税制改正で「住所書け」条件はなくなる予定です

でも、現場が全員「無理!」と思うような法律は、「やっぱやめた」となるものです。

2024年の税制改正で、この2つの「住所を書け」条件は、なくなる方向で話が進みそうです。

改正案では、「住所不要になる入場券は、税込3万円未満のもの限定」という、いままでになかった制限が加わる予定ですが、実務上、問題ないでしょう。

この改正がされれば、「インボイスがなくてもOKな取引(消費税がかかるもものに限ります)」は、すべて、会計ソフトに住所を入力する必要がなくなることになります。

振込手数料相殺がインボイスなしでよくなったように、今回も事務負担の軽減がされるといいですね。

インボイスがなくてもOKな取引まとめ

  • 消費税のかかる取引で、
    • 税込3万円未満の
      • 船代
      • バス代
      • 電車代
      • 路面電車、モノレール、新交通システム代
      • 劇場、映画館、スタジアムの入場券代(改正予定)
    • 消費者から買い取る棚卸資産
      • 古物商が買い取る古物
      • 質屋が買い取る質物
      • 宅建業者が買い取る建物
      • 再生資源事業者が買い取る再生資源
    • インボイスがもらえない取引
      • 税込3万円未満の自動販売機(改正予定)
      • ポストに入れる郵便物の切手代
      • 役員・従業員に支給する職務上必要な旅費・相場の日当
      • 通勤手当(必要額。上限15万円/月)
  • Booking.comなど外国企業が国内ホテルに提供する予約サービスなど

上記すべて、会計システムに仕入先の住所を入力する必要はない(予定)

(追記)令和6年度与党税制改正大綱が発表され、改正以前から、住所の入力がなくても問題とされないこととされました。